胃カメラを飲む話

今朝、思い立って胃カメラを飲んできた。

3日前に突然熱が出て2日ほど伏せっていたのだけど、
その間全く食欲が出ず、起き上がっても胸のあたりがムカムカして、やはり何も食べる気にはなれない。
何も食べられないのはまずいと感じたので、昨日卒論の口頭試問の後保健センターに行ったところ、お腹をプニプニ押され、
「うーん、今日までに良くならなかったら病院で検査受けてください」
とのことだった。
普段ならここで素直に病院に行くませりさんではないのだが、
友人に「もしかして:胃潰瘍と言われてしまったし、
そもそも9日から遠出する予定があるのでなんとかしておきたかった。

下鴨の住宅街の中の胃腸科である。

診察で上に書いたようなことを伝えると、初老の先生は即「飲んどくか」と返事した。
仕事帰りに居酒屋に行くみたいに言うなよ。
でも、これでまたお腹プニプニ押されただけで投薬だけだと不安が残るだけなので、
検査させてもらえるならよかったと思った。
胃カメラである。

そのまま、胃の働きを抑える注射をされる。
狭そうな診療所だったのだが、3階までほぼ全て病院のスペースのようで(先生どこに住んでるんだ)、胃カメラは最上階にいた。胃カメラしかない部屋だった。
寝かされ、まずとろみのある麻酔剤みたいなのを飲まされる。ローションのような役割があるらしい(余計なことを考えるな)。甘いけど不味いのでほとんど飲み込んでしまった。
ナースコールのボタンだけ握らされ、待機。


実はこの状態で1時間くらい待たされていた。
他の外来が詰まっていたかららしいが、あんまりだった。
横の部屋で看護師さんらしい人が喋ってる声が聞こえたから、もしかして忘れられているのではないかと1度ナースコールを押してしまったほどである。
誰も怒らないのでiPhoneを見て暇を潰した。

ともかく本題は胃カメラである。
先生にさらに局部麻酔を7プッシュくらいされた後、あまり間を開けずに入れられた。
「思っていたより苦しくなかった」と書きたかったところだが、苦しかった。
三回くらいオエーって言った。
途中胃カメラに沿ってブラシみたいなものを通された時は、それこそ胃に穴が開くかと思った。どうやらご飯粒が胃に残っていたらしい。
お米なんて3日以上食べてないと思うのですが……。胃腸科の先生が言うんだから本当にお米なんだろうけど……。

抜かれたあとはひたすらネピネピに痰を吐いた。
ゲーゲー悶えていたら「(出発まで)2日あるんやな、行けるで」と先生が言ったので、そのときようやくちょっとホッとできた。
2階に降ろされ栄養剤の点滴。
ぼくが待機させられていた間に診察を受けたとみられるご老人が5人くらい点滴を受けていたので、「あーなるほど」となった。

点滴を受けている間は、2年前の夏に金沢21世紀美術館で見た『内臓感覚』という展覧会を思い出していた。


食道が管であり、そのまま胃につながっているなんてことは普段知識としてしか知られることがないのだが、今回胃カメラを飲んで初めて自分にも内臓というものがあるのだという感覚を得ることができたような気がする(展覧会の内容とは直接関係ないのだが)。


診断は、胃潰瘍ではないが胃粘膜が荒れているということだった(よかった)。
胃カメラの写真は持ち帰れたので、Twitterに上げかけたが名前がきちんと入っていたのでやめた(そりゃそうだ)。
横の薬局で粉薬と胃薬と鎮痛薬をもらい、カナートに寄って帰った。



明後日からフランスに行きます。