10月のワイン

10月は一部のワイン飲みには特別な季節らしい。
ソムリエ・ワインエキスパート試験の二次試験があるからだ。

二次試験のメインは"テイスティング"。ボトルを見ず、グラスに注がれたワインだけでそのワインがどこの国のどんな種類のぶどうから造られた、どんな性質のワインか言い当てるのだ。
もちろん相当な練習量が必要になる。なんとなく「ワインが好きです」では受験できそうにもない。

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この時期、ワインを売りにしている飲食店やワインショップは「二次試験対策セット」を提供する。赤ワイン3杯・白ワイン3杯に番号が振られていて、オーダーした受験生は少しずつ飲みながら手元の"テイスティングシート"と呼ばれる解答用紙に記入していく。
個人が一人でテイスティングの練習をするのは難しいらしい。どこのどんな酒か知らないまま購入し、ボトルを見ずに注いで飲むには工夫が必要だからだ。

多少勉強しないとラベルに何が書いてあるか理解できないのに、もっと勉強しようとするとラベルが邪魔になる。

つくづくめんどくさい酒である。いや、そんな酒を趣味にする人間がめんどくさいのか。

そんな彼らを横目に、私は気楽にヘラヘラと酒を飲んでました。

 

今月は家で安いのから高いのまでいろいろ開けた。
おそらく人生でもう二度と巡り会えない秘蔵の一本も開けちゃって、確かに飛び抜けて感動的だった。でも庶民としてはコスパと味のバランスで評価したい。

だったら一番はこの子、
ドミニク・ローラン〈キュヴェ・ヌメロ・アン〉2016年。

成城石井の一部店舗にほぼ同じ価格で置いてあるみたいです。f:id:zweisleeping:20201005205659j:plain

 ワインを飲み始めた頃「ブルゴーニュは5000円くらい出さないと美味しいの飲めないよ」と先人たちに随分脅された。絶望した私が3年前に出会ったのがこの一本。新樽のバニラの香りのおかげで初心者でも美味しく飲めた。


よくワインの紹介に「ブルゴーニュワインらしい繊細さ」と書かれるけれど、ようは一本開けるうちに味が次々と変わることだと理解している。
アメリカの同品種のワインは"最初から最後までチョコたっぷり"で、それはそれでいいんだけどブルゴーニュは「ベリーの香り、出汁感、薔薇」という調子で香りも味わいも変化する(ほんとに)。
「繊細な」ブルゴーニュワインはたしかに大体5000円するけどヌメロ・アンも十分「繊細」だと思う。

3年前はそこまで考えて飲まなかったな〜。
この「繊細」に慣れすぎるとフランスワインしか飲めない身体にされてしまうそうなので程々にしようと思います。

 

今月、あとはいつもの飲み屋で持ち込みワイン会に参加できたのもよかった。
カルディで買えるコスパ最高のボルドーと、南アフリカの不思議ワインが印象的でした。

自分では探さないものが飲めるのが、カジュアルな持ち込みワイン会の醍醐味みたいです。

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