自宅に新しい調味料を増やす覚悟はあるか
「料理できるの?」と聞かれたとしよう。比較的よくある質問だ。普段なら「簡単なものなら」と答えるだろう。
でも実際、私は本当に「料理できる」んだろうか?
骨付きの鶏肉を塩漬けにしてたので煮たんだけどぼんやりしてたら2時間ぐつぐつやってしまった スープがラーメンの出汁になりそう pic.twitter.com/ErKa44NqHW
— chan-nana / ませり (@zweisleeping) 2020年4月13日
味噌汁は作れる。ルーを溶かすタイプのカレーも。肉じゃがは長いことつくっていないが、多分大丈夫。ポトフなんかはよく作る。
スパイスカレーを煮たことはないので難しいだろう。なんとなくアクアパッツァとかも厳しそうな気がする。ビーフシチューとかも自信がない。
料理名を挙げて想像してみると「以前つくった経験があるからできるよ」が多ければ「料理できる」と判定できる。「つくったことはないけど、それに近い料理をつくれる技術力がある」という判断も「料理できる」に含んでよいだろう。
つまり「料理できる」と言える根拠は技術力にあり、その技術力は経験によって磨かれる。料理できるようになるにはやるしかない。
ただ料理を「やる」ためには超えなければならない高い壁がある。
ずばり、調味料を増やす覚悟である。
私の場合、調味料を増やすにはきっかけが必要だった。
以前中華系の和え麺をつくろうとして、豆板醤を買たのに1回しか使えなかった。
クックパッドのレシピの言うがまま、煮物用にみりんも買ってみたけれど、料理酒との違いがよくわかずシンクの下でカラメル色にしてしまった。
夫と二人で暮らすようになっても、料理をするのはほとんど土日だけ。それもダラダラ時間をかけて肉と野菜を煮る程度なので、オリーブオイルと塩とコショーがあれば大丈夫。
たまに家でタイやベトナム料理がつくりたくなっても「ナンプラーが家にないから無理」と自己暗示をかけ、近所の専門店に食べに行った。
だからうちにあるのはずっとこれだけ。これでずっと事足りてきた。
・酒
・塩
・醤油
・粗挽きコショー
・ごま油
・オリーブオイル
・七味
・スティックシュガー(お菓子を焼くわけじゃないならこれでいい)
転機は、夫の実家からニンジンがたくさん届いたことだった。
私は煮たニンジンを好まない。カレーに入れたとしてもせいぜい1本。うちにはジューさーがない。悩んでたどり着いたのは「キャロットラペ」だった。
ニンジンを好きなだけスライサーでおろして、お酢とコショウで混ぜるだけ。これだったらなんか家にある酒のアテにどんどんいけるはずだ。
ところがうちにはお酢がない。諦めかけたが、今後もニンジンは送られてくるだろうから、やっぱりラペは作れるほうがいいと判断。どうせ買うなら本格レシピの通り白ワインビネガーにしてみよう。
お酢だけだと美味しくなさそうじゃない?レストランで食べるときちょっとカレーっぽい味がするのが美味しいし、クミンパウダーもいるよね。あれ、マスタードもあったほうがいいのか……?
ニンジン。どこでも売ってるのに、カレーしか使いみちのない、癖のある香味野菜。
ニンジンのせいで我が家の調味料棚はこうなった。
・酒
・塩
・醤油
・粗挽きコショー
・ごま油
・オリーブオイル
・七味
・スティックシュガー
+
・白ワインビネガー
・クミン
・粒マスタード
こんどは夫の実家から自家製味噌が来た。(味噌家でつくれるのすごくない?)
私は知っている。味噌は土井善晴先生の言う通り、全然腐らないがカピカピになる。野菜の味噌炒めをつくろう。つまりホイコーローだ。
回鍋肉は少し辛い方がいいから、やっぱり豆板醤がほしい。みりんもこの際買ってしまおう。毎日味噌炒めは飽きそうだから、豚肉と野菜炒めを続けるならオイスターソースもあったほうがいいかも。いいかげん、サラサラのコショーも100円しないし買っちゃいましょう。
・酒
・塩
・醤油
・粗挽きコショー
・ごま油
・オリーブオイル
・七味
・スティックシュガー
・白ワインビネガー
・クミン
・粒マスタード
+
・味噌
・豆板醤
・オイスターソース
・みりん
・コショー
どうだろう、これくらい増えると万能感が湧いてくる。何かのレシピを見て「これ調味料全部うちにあるじゃん!!!」となると、それだけで作る気が湧いてくる。作る気さえあれば料理はつくれる。きっとみりんも豆板醤も使い切れる。今までちゃんと使い切れなくてごめんね。ありがとうニンジン。
お題「#おうち時間」